
お世話になっております。
アスタワークス原田です。
2023年10月より開始されるインボイス制度について、当事務所の基本方針をお知らせします。
当事務所は免税事業者です。
当面、課税事業者登録をする予定はございません。
当方に適格請求書の発行資格が無いため、恐れ入りますがインボイス制度開始後は、実質的※に10%(経過措置期間は2%~5%)の値上げとなります。
(※これまでと請求金額自体に変わりはありませんが、クライアント様側で仕入税額控除ができないことによる消費税額分の金銭的負担増、事務負担増となるため)
とはいえ、アスタワークスといたしましては、これまで同様、市場の相場感と当方の提供可能価値を鑑み、比較的割安感を損なわないよう善処していく意向でおります。
都度見積もり額にて、増加コストを鑑みたうえで適宜発注をご判断ください。
「安くて腕がいい、融通がきく」と思ってもらいたい。
これが開業当初から変わらない、私の市場における存在意義であり望みです。
もちろん取引を課税事業者に絞るという企業さまにおかれましては、それを否定する考えはまったくございません。
企業様毎に自社に合った最適な判断を下されるべきです。
また今後については、市場状況に応じ、そのときどきで取るべき方針を検討するつもりです。
あくまで現在~経過措置3年程度は、この方針だろうな~という感じです。
請求金額の前提と今後の消費税記載について
請求合計金額が当方の商品提供対価であり、消費税の記載はあくまでクライアント様側で仕入税額控除をスムーズに受けていただくための処置に過ぎない。
今後も同様にクライアント様側でインボイス制度の経過措置を受けていただくために、表記しておかなくてはご迷惑をかける(いちいち追記による補正をいただくのもご面倒でしょう。)ため、請求書には形式上、消費税額を区分記載にて表記いたします。
【参考動画:Youtube】国が教えない免税事業者の請求書の正しい書き方!/オタク会計士ch【山田真哉】
<インボイス制度の経過措置とは>
インボイス制度の経過措置とは、免税事業者や適格請求書発行事業者ではない課税事業者と取引をしている課税事業者が、適格請求書以外の請求書でも一定割合(2023年10月から3年間は80%、2026年10月から3年間は50%)の仕入税額控除を受けられる措置です。
<消費税とはなんなのか>
日本の消費税法に基づく消費税は、付加価値税に分類されます。
法的にいうと商品価格を構成する一部であり、判例もあります。
事業者(課税対象)が払うものであり、消費者が預けている税金ではない。
と、公に示されていることであります。
(※これが今回を機に、多くの国民の知るところになったことはインボイス制度の数少ない利点の一つであると言えます。)
今回のインボイス制度開始にあたり、消費税とは何なのか、その歴史や昨今の情勢などについて、この1年間かなりの数の記事、税理士さん他の動画を見漁ってきました。
この一年の学びは、今回の経営判断について明確な根拠を持って下せた大きな要因となっています。
方針決定の前提①インボイス登録状況※2023年8月時点
法人(課税事業者)は約95%。
フリーランス・個人事業主(課税事業者)は約70%。
フリーランス・個人事業主(免税事業者→課税事業者へ転換)は約15%とみられています。
※不動産所得者約150万人や副業の個人事業主などを含めると、登録割合はさらに下がります。
この状況をみれば、多くの中小零細企業は取引を課税事業者だけに絞る(新たに探す)ということがなかなかに困難であることが予想できます。
方針決定の前提②どちらがクライアント様の損にならないか
方針決定の前提として、免税か課税か、どちらのほうがクライアント様の損にならないかを基軸に判断を下しました。
■当方が免税事業者のままでいる場合
インボイス制度開始前と比較すると、これまで差し引けていた消費税額(経過措置期間中はこのうち一部)が控除されなくなることによるクライアント様側の金銭的負担増、事務作業の手間コスト増。
これが予想されます。
甚だどうしても負担はおかけしてしまうと存じます。
その分の値引きの線も考えましたが、当方はご依頼ごとの都度見積制を採っており、2%~10%(経過措置~撤廃まで)程度の価格差では、常に”無料で対応してしまう範囲”や”見積りをよほど大幅に超えない限り追加費用無し”といった、『クライアント様側に得をしてもらう』丼勘定にて、多くの場合すでにその誤差を吸収してしまっています。
このようにそもそもの対応価格が変動的であるため、たとえばこちらが「その分値引きします」といったところで、対応範囲や見積額において、こちら側の匙加減ひとつで調整できてしまうため無意味でありフェアではないと考えます。
ゆえに、あくまで”インボイス制度開始にあたって”の値引き対応は考えていません。
アスタワークスとしてはこれまでどおり、ご要望から適宜判断・対応の工夫によって、できるだけ安価でサービス提供できるよう努めるのみでございます。
■当方が課税事業者となる場合
消費税額分の値上げだけで済むなら課税事業者登録も考えましたが、そんなもんじゃ済まないことが明らかだったため、これを選ばなかった次第です。
課税事業者となると、経費にかかる消費税についての事務負担が爆増します。
当方会計経理も手前でやっており、本業に割くべき時間を削られます。
会計士さんを頼んでもいいですが、これも当方の料金が上がる要因になります。
またこれまでより細かな仕分けが求められ、インボイス制度における様々な要件が、まわりまわって当方の柔軟な対応を奪っていくでしょう。
これまではある程度の更新・修正作業、アドバイス、調査、不具合対応、ワードプレスのアップデートなど、「やっときますよ~」「費用?いりませんよ」みたいな感じで月額管理費も無しで対応していた部分、これらが全部費用発生することになります。
こんなことになったらそれこそクライアント様は私へ頼むメリットが極小化します。
わたしのデザインスキルやサイト構築スキル、マーケティングスキルなど、他の優秀なクリエイターや制作会社さんと比べればたかが知れています。
「Web販促に関しては、そこそこなんでもできて融通がきく人」
これも市場で必要とされる大切な役割と考えますし、このポジションは比較的安価でなければいけないと考えています。
アスタワークスは開業当初から掲げているコンセプト”小さな会社に寄り添うデザイン”からブレることなく10年間やってきました。
有名・大手企業の案件をこなし自分の名を上げることより、小さな企業を応援し、工夫を凝らし、その会社・サービス・商品の名が上がっていくのをそばで見ることの方が面白く、私にとってこの仕事を続ける醍醐味であると考えています。
インボイス制度はそのコンセプト、根幹を揺るがしかねない可能性を持っていると判断したため、制度開始に際しての課税事業者登録を見送った次第でございます。
以上、2023年10月以降の当事務所の方針と、方針決定の前提についてお伝えさせていただきました。
ご容赦いただけるようであれば、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
最後に
個人的な見解として、この制度は最初から大きく破綻している制度だと考えています。
1年前にこの制度について調べたとき、「こんなアホみたいな制度がほんとうに開始されてしまう(止まらない・止められない)なら、この国はいよいよ終わり」とすら感じました。
政府や財務省が増税を主目的に置いた制度(※表向きは軽減税率に対応した適切な課税のためと、不平等感の是正といっていますが、制度内容的に完全に矛盾します)であり、その効果に対する国内の経済的ダメージのシミュレーションが全くといっていいほどされていません。
免税事業者における消費税が益税だ、いや益税ではない、等と、レベルの低い不毛な議論(政府にとって都合のいい的外れな議論)が国民の間で交わされている間に、史上最大54万件のデジタル署名も意に介さず、まんまと強行開始されてしまったわけです。
強行するだけしてあとは民間に丸投げ、説明すら民間任せ。
X(旧ツイッター)など見ていると、消費税の実態や裏側、インボイス制度自体を正しく理解できていない経営者もまだまだ多い印象です。
経理担当者がようやく「これはやばい」と理解し始めたころというのがみてとれます。
そもそも細かな要件に至っては、税理士や税務署職員ですら見解の分かれる、全容を完璧に理解している人間が国内にひとりもいない(というか明確に決まっていない事項が多々ある)ような制度が実際に開始されてしまっていること自体、この国がどうかしてしまったことを物語っています。
税理士がインボイス制度の要件で分からないことがあったので税務署に確認すると、税務署職員からは「国税サイトのQ&Aで記載されている事項についてしか分かりません。」と言われるそうです。
もはやコントです。
本当は課税事業者への増税と言えるインボイス制度の罠
声優さんが廃業に追い込まれる!日本の文化的損失だ!フリーランスが大変だ!などと初期段階でメディアが拡散したため、免税事業者をうまくスケープゴートにされてしまいました。
消費税が付加価値税で、判例の通り、預かり金ではなく単に商品価格を構成するものであるならば、インボイス制度はほんとは課税事業者への増税を強いる制度であることを、メディアによってまんまと免税事業者の増税問題にすり替えられてしまい、本来最初から免税事業者と一緒になって声を上げるべきだった課税事業者が制度開始の1ヶ月2ヶ月前ぐらい、果ては制度開始してからようやく当事者意識を持つような格好となる始末。
【参考動画:Youtube】「インボイス制度 増税されるのは「課税事業者」である」/ 安藤裕チャンネルひろしの視点
経済オンチの馬鹿どもが、てきと~~~に考えた制度の負担を、その馬鹿どもに馬鹿にされ続けている我々国民、課税事業者と免税事業者間でなすりつけあい、最終的に消費者がツケを払うという地獄のような図式がインボイス制度の正体です。
これは免税・課税どちらがどうするのがスジが通るというような問題ではありません。
ただただ立場の強さ弱さによってだれがババを引くのかが決まるのみです。
免税事業者へ負担増を強いているのは、課税事業者ではなく国です。
課税事業者へ負担増を強いているのは、免税事業者ではなく国です。
消費者への負担増を強いているのは、事業者ではなく国です。
インボイス制度が巻き起こす事象
インボイス制度に起因するトラブルはこれから相当な数が発生すると予想できます。
■あらゆる商品・サービスの物価が高騰します。
■安価な免税事業者の廃業が進み、人材確保が難しくなります。
■若手の独立開業・参入が減少。担い手が少なくなり供給が追い付かず、市場価格はつり上がり、国内生産力は下落します。
■高齢の事業者の廃業が進み、技術は失われ、自力で暮らせる人を減らし、社会保障に関わる現役世代の費用負担がさらに増加します。
■実態は程遠いにもかかわらず、政府はこれで税の不平等を是正したと声高に掲げ、消費税増税を推し進めていくでしょう。
こんなアホな制度は絶対に止めなくてはいけなかった。
とっとと廃止されることを強く望みます。
10月12日追記
11日に経済評論家の三橋貴明さんがYOUTUBEにアップされた内容が、まんま私の見解と一致していたので、ご紹介させていただきます。
この動画内でも言及がありましたが、ストップインボイスの団体の活動は署名55万を超えて今も署名を継続中です。
当然、当方は署名済みですが、100万筆の署名はたしかに中々インパクトがありそうな気がします。
大事なのはみんなが知ること。
100万筆という署名そのものというよりは、動画中でもありましたが「絶対に自民党にだけは投票しない100万人の存在」という状況が政治を動かす効力を生むのです。
インボイス制度が実際に開始され、その正体が多くの国民に広まり始めています。
おそらく課税事業者も今後は賛同し始めるでしょう。
今回を機に皆が自分事として学び、考えれば、
100万署名はけっこう現実的な数字だと私は思います。
皆が自分事として学び、考えれば、、、。